マーケティング

リードナーチャリングをはじめましょう|顧客管理と顧客育成

リードナーチャリングと顧客管理の最適化を行いましょう

ビジネスを進める大切な要素のひとつに『顧客管理』があります。特にBtoBビジネスを中心に、取引先の所在地や担当者などの基礎情報だけでなく、顧客ごとの商談の進捗状況や、それに合わせた最適なアプローチなど、様々な情報をうまく管理すること(いわゆるCRM:Customer Relationship Managementの考え方)が求められてきました。

さらに近年は、BtoCビジネスでもネット広告やWebサイトのアクセスデータなど顧客ごとに様々なデータが詳細に取得できる環境が整ってきたため、BtoBビジネスと同様、細かな個人単位の顧客管理が可能になってきています。

 

1.『リードナーチャリング』とは?(『顧客育成』という考え方)

顧客管理の具体的な進め方として注目を集めているのが『リードナーチャリング(Lead Nurturing)』という考え方です。リードナーチャリングは、簡単に言うと、顧客をいくつかのステップに分けて考え、それぞれに応じた情報提供などで購入へのステップを進んでもらうというもので、『顧客育成』とも言われています。

 

以前『購買行動モデル|ステップごとの最適化が大切』の投稿でもお伝えしたように、実際の購入の流れは、商品・サービスの内容や競合状況などにより様々です。しかし、購入への顧客の状態に着目すると、BtoB・BtoCにかかわらず、『顧客』を、主にふたつの軸で分類して考えることができます。

①必要性:競合商品を含め、同様の商品・サービスを購入する必要があるかどうか(≒ニーズがあるか?)
②欲求:自社商品・サービスを魅力に感じているかどうか(欲しいと思っているか?)

 

基本的な顧客の分類『必要性』と『欲求』の両方が高い状態の顧客以外に強引に商談アプローチを進めても効果があがらないため状況に応じて何らかの情報を提供しつつ右上へ進んでもらうことが大切

 

当然『必要性』が高く、かつ『欲求』も強い(右上の黄色のエリア)顧客は、自社商品・サービス購入につながりやすく、営業効果も上がりやすい訳ですが、それ以外のエリア・どちらかが低い場合、強引に商談アプローチを進めても最終的に購入に至らなかったり(①が低い右下のエリアの場合)他社商品・サービスを購入したり(②が低い左上のエリアの場合)といった結果になってしまう可能性が高くなるため、顧客の購入検討状況がどの状態にあるのかを見極めたアプローチを行うことが大切と言えます。(左下の必要性も欲求も低い顧客へのアプローチは非常にロスが大きく、結果として購入に結びつかない可能性も高くなります)

 

2.リードナーチャリングの必要性

インターネットの普及が進み、『ネット検索』が爆発的に増えています。ユーザーが自ら能動的に情報収集できる環境が整ったことにより、情報入手手段も増え、購入に至るまでの経路は複雑化する一方です。さらに、最初に商品・サービスの情報に触れた時から購入決定までの期間も長期化しているといわれていますので、いわゆる『休眠顧客(情報には触れているが購入検討が止まっている状態の顧客)』が増えているとも言われています。

 

このような状況の中、注目を集めているのが『リードナーチャリング』です。リードナーチャリングででは、「必要性」や「欲求」を基本に顧客をいくつかに分類し、ステップそれぞれに応じた情報を提供しますので、従来はすべての顧客に一様の対応をしていたり、担当者の肌感覚やカンに頼ってなんとなく行われてきた顧客ごとのきめ細かなアプローチを定型化し、効率的に行うことになります。このため、例えば『顧客へのフォローをやめた結果、知らない間に他社商品・サービスを購入していた』ということを防ぐ効果も見込めますし、定型化しておくことでノウハウが社内に蓄積・共有・一元管理できますので、ビジネスをさらに成長させることにもつながります。

 

3.リードナーチャリングの具体的な進め方とは?

では、実際にリードナーチャリングは、どのような進め方をすればよいのでしょうか?
顧客の購入プロセスは一般に以下のような流れになっていると言われます。前述の通り実際には様々なステップが存在しますが、ここでは最も基本的な例で考えてみましょう。

基本的な購入プロセス。リードナーチャリングでは、それぞれのステップごとに違う『顧客が必要としている情報』を提供し、購入検討の流れを進めてもらう

それぞれ簡単に説明しましょう。

  • 認知:商品・サービスの存在を知っている状態

    検索や広告などで最初に情報に触れ、実際の購入検討の流れと結びついていない状態もここに含まれます

  • 興味:競合他社も含め、同様の商品・サービスに何らかの興味を持っている状態

    購入検討が一部はじまっているが、具体的に商品選定や予算などの詳細は考えていない状態

  • 情報収集:購入検討がさらに進み、具体的に商品・サービスの情報を集めている状態

    近年は情報に接する媒体が増え、情報入手ルートは複雑化しています

  • 関心:自社商品・サービスの特徴を把握し、購入検討の候補に挙がっている状態

    競合他社と優劣がついていない状態で、購入の一候補になっている状態

  • 検討:候補に挙がった中から購入へ進む商品・サービスを決定するための比較検討を行っている状態

  • 意思決定:検討の結果、何らかのポイントで購入する商品・サービスを決定した状態

  • 購入:実際の購入行動、関連する手続きを行っている状態

  • ロイヤルカスタマー:購入した商品・サービスを利用した後、再購入・再利用や新たな顧客への情報拡散を行う可能性の高い『優良顧客』となった状態

上記を基本に、自社商品・サービスの購入の流れを考えてみてください。それぞれのステップごとの「かかる時間・期間」も一様ではないと思います。例えば食品などは短期間で判断し、購入へ進みますが、クルマや住宅のようなものは長期間をかけることになります(この「時間・期間」も商品・サービスや、顧客によっても一様ではありません)。このように分けて考えたそれぞれステップごとに違う『顧客が必要としている情報』を提供し、購入検討の流れを進めることがリードナーチャリングの基本的な考え方です。

 

4.リードナーチャリングと顧客管理(顧客の状態に応じた具体的なアプローチ)

では、具体的にそれぞれのステップの顧客に、どのようなアプローチを行えばよいのでしょうか?

以下にそれぞれのステップで効果が見込める施策と提供すべき情報の例をいくつか挙げてみます。こちらも実際には自社商品・サービスや顧客・施策の詳細(どのような顧客に向けて、どのような組み立てで展開するのか?)によって多少変わると思いますので、詳しく考えてみてください。

概要としては、商品・サービスの購入検討が進んでいない顧客への施策ではSEOや広告をはじめオンライン・オフラインを問わず様々なアプローチなどで商品・サービスの露出を増やし、認知を広げ、対象となる顧客数を拡大します。また、購入までの各ステップでは、顧客の検討を活性化させ、購入へと導きます。最終的には購入後の顧客にもロイヤルカスタマーになってもらえるような施策まれ、一連のものとしてアプローチを行うことになります。ロイヤルカスタマーを増やすことは、収益面をはじめとして様々なメリットをもたらします。ここでは詳しく触れませんが、新規顧客への認知施策中心の展開からロイヤルカスタマーを中心とした組み立てに転換していくことは、ビジネスの長期的な成長にとって、重要なポイントと言えます。

  1. 『認知』のステップ:

    最初の『認知』のステップでは、商品・サービスの存在を知ってもらうことが目的ですから、情報をなるべく広く発信し、多くの人に見てもらうことが目的となります。以降のステップに進みやすい顧客を想定し、興味を持ってもらいやすい情報として構成することも大切です。それまで商品・サービスを知らなかった層に向かってアプローチすることになるので、広告などでは魅力を端的に・分かりやすく伝えることが必要ですし、BLOGなどを使ったコンテンツマーケティングの手法では、テーマ設定やSEOのキーワード選定なども重要になります。

  2. 『興味』から『関心』までのステップ:

    『興味』から『関心』までの各ステップアップには、様々な施策が考えられます。
    利用する媒体ではなく、提供する情報の中身を基本に考えてみましょう。例えば『興味』のステップではさらに自社商品・サービスを詳しく知ってもらうための、ちょっとしたこだわりなどの情報を提供してみたり、会社として目指す方向などの情報提供で、商品・サービスよりも広い興味を持ってもらうのも良いかも知れません。

    『関心』のステップでは、顧客が自分(自社)で使いこなせるか・利用価値はあるのかといった部分にフォーカスし、利用者の声成功事例Q&Aといった顧客の購入に際しての疑問を解消するコンテンツなどがおススメです。

    リードナーチャリングの目的は『顧客のステップを進めてもらうこと』です。顧客によって多少進むスピードは違いますので注意は必要ですが、こちらから情報提供をして進んでもらうというスタンスで、様々な情報を提供し、商品・サービスへの理解を深める(必要性を感じてもらう)とともに、企業・ブランドとしての親和性を高める(欲しいと思ってもらう)ためのアプローチを行うことが多くなっています。

  3. 『検討』から『意思決定』までのステップ:

    『検討』のステップは、これまでの各ステップと違い、とても重要な意味合いを持ちます。多くの場合次の『意思決定』をするための重要な情報として、商品・サービスの価格をはじめとした比較が行われたり、購入に関する手続きの情報が必要になりします。

  4. 『ロイヤルカスタマー』のステップ:

    購入後の顧客のフォローを行います。特にBtoBや金額の大きな商品・サービスでは、購入したことが間違いではなかったのか?という疑問を持つことが多くありますので、これを解消するための情報提供を行います。また、購入者同士の情報交換等ができる『ユーザー会』のようなものを活用することも顧客満足度を高めるために多く用いられている手法です。

 

5.ABテストで効率アップ!

このように、それぞれのステップでの施策を組み立て、よりスピーディーに効果的に運用するためには、ステップごとにABテストを行ってみることをお勧めします。ABテストは、例えば全体の予算の10分の1ずつをABふたつのパターンでテスト運用してみて、結果の良かった方を残りの予算で実運用してしてみる。というものです。

ABテストを効果的に使いましょう

ABテストを効果的に実施するにはいくつかポイントがあります。

  • テストの目的設定と仮説だて

    広告のクリック率を上げたい・CVを高めたい・サイトの閲覧時間を増やしたい…など、テストには必ず『目的』が必要です。また、ABの差として設定する項目も、単純に文言やデザインなどを変えるのではなく、『目的』に影響を与えるであろうモノを選ぶ必要があります。いわゆる『マーケティングリサーチ』という大規模・詳細なものは不要ですが、目的に紐ついた仮説をたてることがノウハウを貯めることにつながりますのでおススメです。

  • ある程度の母数がないと結果データの信頼性が低くなる

    テストに使うデータの母数が少ないと、結果の『ブレ(データ値1件の差による比率の差)』が発生しやすくなるため注意が必要です。例えばABテストの回答データが10件しかない場合と100件ある場合では、1件がAからBに変わった時の結果への影響(10件の場合10%、100件の場合1%)が変わってきます。状況によりますが、できるだけ多くのデータで検証した方が信頼性は高くなると言えます。

  • ABの比較要素以外を絞る必要がある

    一度にあれもこれも とたくさんの違いを盛り込むと、なぜそちらが良かったのか?の検証が難しくなります。テマや予算などから、一度にあれもこれもとまとめてしまいがちですが、AとBの差は一つに絞り、それ以外は全く同じ状態で行うようにしましょう。

 

6.まずは土台となる顧客情報集めから

このようにステップごとの顧客を管理し、リードナーチャリングを進める上で、土台となるのは顧客データベースです。最初の顧客接点となる顧客情報(アプローチ先)をどう集めるか?そのリストをどう一元管理し、運用するか?がリードナーチャリングを進める上で重要となります。ひとりの担当者から連絡していた顧客へ、別の担当から「はじめまして」と同じ内容の連絡をしてしまっては、顧客からの信頼は得られにくいでしょう。

近年ではこのようなリードナーチャリングを自動的に行う仕組み(CRMシステムやMAサービスなど)も数多く発表されています。自社の目的や運用、規模などに合わせて、導入を検討してみるのも良いかも知れません。

また、顧客情報の収集には、名刺交換会や異業種交流会などのリアル施策も良いかも知れません。『効率』を考えると、『自社商品・サービスの購入につながりやすい顧客』にあらかじめ絞って情報を集めてしまいがちですが、最初は効率ばかり重視するのはお勧めしません。ある程度の広さを持って、自社商品・サービスの認知を広げるという部分に注力し、取り組んでみるのが良いのではないでしょうか。

 

アーティでは、リードナーチャリングの検証・組み立てや、具体的な施策への落し込み、運用など、様々なお手伝いを行っています。

まずはご相談から。ぜひお気軽にお問い合わせください