イノベーション・共創

イノベーションの踏ん張りどころ

イノベーションには苦しいフェーズ、いわゆる「踏ん張りどころ」があります。

今日はそれをご紹介したいと思います。

 

新規事業の模索を続けているIT企業の話

アーティで取り扱っている企業さまの実例をご紹介したいと思います。
ある企業さまは約1年間かけて新規事業のアイデアを練ってきました。
そしていよいよ一つの新規事業にバジェットが付き、会社から正式なGOサインが出ました。

当然、ここで一度は「やった~!」、「進め~!」、「夢の第一歩だ!」等々テンションは上がるのですが、すぐに目が覚めることになります。
実は、ここからが本当の意味での新規事業の産みの苦しみ。
苦行の道が始まるのです。
なぜでしょうか?

 

まず第一に【リソース不足という課題】
「本当にできるのか?」という問題と真剣に向き合わないといけません。
当たり前のことですが、アイデアベースのときとは訳が違います。

  • 人的リソースが足りない(新しいビジネスに人は割けないことがほとんどです。)
  • ノウハウが足りない(新しいビジネスの専門性がそこまで高くないことはよくあることです。)
  • 予算が潤沢ではない(予算は適正に使わないと、すぐに足りなくなることが分かります。)
  • 近隣市場はすでにレッドオーシャン(避けていたつもりでも、近い市場はすでにレッドオーシャンってこともあります。)
  • マーケティング施策が分からない(こちらもノウハウに近いですが、BtoBビジネスに長けた会社は販売チャネルが限定的だったりします。)

リソース全てがないない尽くし。これがなかなか辛いです。

 

第二に【マネジメント手法との乖離】
「社内で承認を得たが、どこまでの承認か?」という問題です。
どういう意味かといいますと、新規事業を推進するにあたっては、様々なアウトプットや結果を求められることになります。

例えば、

  • 既存事業と同じレベルの予算管理資料を求められる
    (これをやると既存事業と新規事業の双方にとってマイナスです。お互いの目的が違うので、双方の主張が交わらず、相互不信や敵対関係になってしまいます。当然既存事業の目的は着実な収益ですが、新規事業の目的は違います。)
  • 損益分岐点を含めたロードマップの提出を求められる。そしてそれは当然頻繁に修正が必要になる。
    (これは使い方を間違えると疲弊します。)
  • もしくは、●年●月まで続けて、結果が出なければやめるように言われる。
    (余計なプレッシャーですし、イノベーションの取り組みは期間限定であってはいけません。)

承認をもらい、予算が降りたとしても、全ての理解があるかというとなかなかそうはいきません。
イノベーションを担当するメンバーと経営者や会社との間に共通言語が出来ている状態ではないのです。

平たく言うと、イノベーティブな活動を承認してもらい、イノベーティブにアイデアを出し、一つの新規事業の承認を得たとしても、会社全体がイノベーティブな訳ではありません。
なので、イノベーティブな活動を全てにおいて認めたわけではなく、全社に浸透したわけでもありません。
マネジメント手法は従来のモノを用います。

 

以下を想像してみて下さい。

  • 毎月マイナスの収支管理資料を作成し、他事業部から白い目で見られる
    (当然新規事業には新規顧客獲得コストが必要なので、しばらくはマイナスになります。)
  • 担当メンバーの意気込みだけ(根拠はそれだけ)を反映させた損益を含めたロードマップを作成し、予定変更の度に資料を修正し、関係者へ説明する
    (社内で承認してもらうことを目標に仕上げることになり、その内容は修正することがほとんど。その修正版も同じ根拠で作成することになる。)

この二つと向き合うことが非常につらいのです。

 

【リソース不足という課題】については、弊社がお手伝いできることは多いです。

  • 弊社のノウハウ、リソースを活用いただく
  • 足らないものは弊社が探してくる

など打つ手は様々可能です。

 

【マネジメント手法との乖離】についても、弊社がお手伝いできますが、ここが強敵です。
イノベーションの考え方、イノベーションの事例を一緒にお伝えしながら丁寧に進めなくてはいけません。
新規事業には新規事業に向いたマネジメント手法があります。自社の新規事業向けにそれをアレンジして運用する必要があります。
とはいえ、イノベーションのご担当者の揺るぎないパワーも不可欠です。理屈だけでは企業は変われません。
社内のネゴシエーションも一緒にやっていきましょう。
ちなみにこのIT企業の担当者は心の折れない方でした。(何度か折れそうになっていましたが)

※新規事業のマネジメント手法については、後日触れてみたいと思います。

 

 

イノベーションと守破離

実は、イノベーションの考えというのは、昔から伝統的な武道や芸能の世界で存在していました。
守破離の考えです。

守:教えを習い、真似る
破:改善、改良を加える
離:新しいものを創り出す

昔からある考えですが、守破離は師匠と弟子の関係性なので、「離」は弟子が勝手に取り組んでいることがほとんどだと思います。
組織として守破離の「離」を支えることは難しいですよね。
守破…で足踏みする組織が多いのだと思います。

で、このIT企業は今現在、先ほどの二つの課題と向き合っています。
担当の方の心が折れないように一緒に取り組んでいきたいと思います。

アーティではこのような新規事業の模索や、イノベーションの壁を乗り越えるお手伝いを二人三脚で取り組みます。ぜひお気軽にお問い合わせください